個人融資(個人間融資)とは
個人融資(個人間融資)とは
金利とは…借入・貸付を行った際の元金に対して発生する利息の割合を「%」で表したもの
利息とは…(借入額×金利=利息)借入た金額に対し、金利(%)をかけた金額のこと
個人間融資は別名個人融資とも言われ、業者を通さずに主にSNS上で融資を募り個人間で金銭の貸し借りをするという名目の違法行為です。なぜ個人融資が違法行為か、それは個人融資には金利(利息)が発生し、継続した契約を前提に行なわれる取引だから。
貸金業の登録先は、財務局長か都道府県知事のいずれかとなり、どちらに登録申請をするかは営業所の所在地によって変わります。
営業所の所在地が1つの都道府県内である場合は都道府県知事への登録申請を、所在地が複数の都道府県の場合には財務局長への登録申請を行うことになります。
登録を受けないで貸金業を営むと、無登録営業として、法律によって罰せられます。引用:日本貸金業協会
利息が発生する金銭のやり取りは、法律によって国や都道府県への登録が必要ですが、個人融資で融資を行なっている業者や個人は正規の登録を行なっていないことがほとんど。
そのため、こういったやり取りは違法行為となるため場合によっては法律で罰せられることがあるということですね。
また、個人融資で発生する金利の中には法律で決められた金利以上の高金利で貸付けをされることがあります。その場合には出資法という法律を違反することになるので、2つの法律を犯した行為といえます。
契約しても借りられないことがある
融資を受けるために住所・電話番号などの個人情報を聞かれるケースが多いですが、情報を渡しても融資を受けられないことがあります。個人融資の業者は始めから融資をするつもりなどなく、ただ情報を抜き取ろうとしている場合があるということですね。
また、追加融資や利息カットのために「ひととき融資」やセクシャルな写真・動画を要求し、結局は借りられない…といったことも。
脅しや他の犯罪に使うための材料を抜き取られた場合、予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性が高いため初めから個人融資を利用しないようにしましょう。
個人融資(個人間融資)が問われる罪
- 貸金業法
- 出資法
個人融資(個人間融資)で貸す側と借りる側がどういった取引をするかによっても異なりますが、大きく2つの法律を犯している可能性があります。
貸金業法違反
①無登録営業の罪
貸金業法の登録を受けないで貸金業を営んだ場合は、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金または併科です(47条)引用:東京司法書士会
金銭の貸付けを行なうには、国や都道府県に対して登録を行なう必要がありますが、その登録をしていないと法律を犯したとして罪に問われます。状況によっては10年以下の懲役+3000万円以下の罰金となります。
個人であっても金銭を貸し付ける際には正規の登録が必要ですが、個人融資は無登録で貸付けているケースがほとんどということですね。
出資法違反
業としての貸付けで20%を超える高金利は、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその併科に当たる犯罪です(5条2項)。
さらに、年109.5%を超える場合は、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金または併科へと刑が加重されています(5条3項)。一度も面識のなかった相手に金銭を貸し付けたとすれば、業としての貸付けと考えられます。ただ、業で
あるかどうかの判断ができないことが懸念される場合もあります。しかし、業でない貸付けでも年109.5%を超える高金利ならば、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその併科に当たる犯罪です(5条1項)引用:東京司法書士会
出資法とは、貸付けを行なう業者が高額な金利を請求しないように定められている法律です。
法律で決まっている金利は年15~20%となっていますが、もちろん違法で営業している闇金や個人融資の場合、金利についての法律を守っていません。
法律で金利が定められている理由は、利用者の負担を減らすためであり、正規の消費者金融から借入れた場合は少なくとも返済を目的に貸付けを行なっています。
ではなぜ闇金や個人融資といった違法な貸金業は高額な金利を請求してくるのか。それは、利用者の生活などに興味はなく自身の売上を金利で成り立たせようとしているからです。
個人融資は2つの罪に問われる可能性があり、正規の消費者金融と違い個人融資は利益のことだけを考えている融資ということですね。
少額であっても高額な利息が発生するため、借入をすると返済できないうえに生活を脅かす悪質な業者という認識を持ちましょう。
個人融資(個人間融資)を受けるために聞かれること
- 氏名
- 住所
- 戸籍謄本
- 住民票
- 勤務先の情報
- 実家の住所
- 家族構成
- 借金歴
個人融資を受けるには、氏名や住所のほかに勤務先の情報などが必要となります。この際、戸籍謄本や住民票を求められることも多いですが、これらの書類は自身だけでなく家族や親族についての情報も載っている重要な書類です。
一度個人融資の業者の手に渡るとどんな犯罪に使われるかもわからないため、大変危険な行為といえるでしょう。
近年ではマイナンバーカードを使用することで住民票の受け取り手続きがコンビニでもできるようになりました。こういった手軽さも相まってより被害に遭う人が多くなってしまった可能性もありますね。
また、個人融資は主にネットで活動しており、X(旧:Twitter)や配信サイトの利用は若年層も多いことがポイント。10代や20代前半の被害者は、後先を考えずに言われた通り書類を集め、その場のお金欲しさに気が付いた時には個人融資の一被害者となっているケースも考えられます。
住民票や戸籍謄本を個人融資の書類として提出することはご自身だけでなく、周囲の人も危険に巻き込む行為です。一度渡した書類は犯罪に使われる可能性もあることを頭に入れておきましょう。
個人融資(個人間融資)が出没するスポット
- X(旧:Twitter)
- 配信サイト「Yay!」
- Threads(スレッズ)
- 掲示板
個人融資(個人間融資)は主にネットで活動していますが、その活動場所はさまざま。実際に少し検索をするだけでも各サイト・アプリで融資希望者を探す業者の投稿がいくつもヒットします。
そこで、各サイトでどのような投稿をされているかを調査してみました。
※以下で紹介する掲示板以外のサイト・アプリは、本来は個人や企業がクリアに楽しむためのものです。こういった犯罪につながる投稿も中にはあるという視点でご覧ください。また、日常的にアプリを使用することは全く問題ございませんが、危険な投稿を見極める判断能力を身に着けることがなによりも大切です。
X(旧:Twitter)に出没する個人融資(個人間融資)
「#個人融資」と検索すると毎日のように個人融資について新規投稿がヒットします。こちらのアカウントでは在籍確認や先払い無しで融資するという投稿が頻繁に行われていますが、驚くべきは23時間前の投稿で134回表示されているということ。
Xの表示はハッシュタグでの検索による投稿の表示の他、関連性のある投稿がランダムに表示されるという仕組みになっていますが、それほど関連性・検索によりこの投稿が多くの人の目に触れているということがわかりますね。
その他には中古品売買などに使われるメルカリのアカウント買取についての投稿も投稿されています。お金に困っている時には使っていないアカウントなら売却したいと考えてしまうこともありますが、アカウントを販売することはとても危険。売却したアカウントは犯罪に使われる可能性があります。
というのも、メルカリの使用方法は多岐にわたり、近年ではクリーンな使い方の他犯罪によって作られたお金の隠蔽のためメルカリによってお金を換金する方法や禁止行為を行なうために複数のアカウントを所持している場合があります。
メルカリを利用し高利貸しの疑い 売買装い決済、逮捕
フリマアプリ「メルカリ」を利用し、商品の売買を装って高金利で金を貸したとして、大阪府警は3日、千葉県佐倉市の無職、小倉一(はじめ)容疑者(48)を出資法違反の疑いで2日に逮捕したと発表した。「生活費のためにやった」と話し、容疑を認めているという。
メルカリで商品の売買をするふりをして、実際にはメルカリ上で違法な金利を請求する金貸しをしたため実行犯が逮捕されるという事件も発生しています。このようにメルカリのアプリひとつにしても犯罪に使用される場合があるため、アプリアカウントの売買には注意が必要です。
使っていないアカウントであれば問題ないと考える人もいるかもしれませんが、譲渡したアカウントが犯罪に使われた場合、渡したあなたにも罪が科されることがあります。
配信サイト「Yay!」に出没する個人融資(個人間融資)
生放送などの配信を行なう配信サイト「yay!」でも個人融資を行なっている実態があります。「yay!」は配信サービスの他、X(旧:Twitter)のような投稿サービスがありますが、その投稿には個人融資についての内容が…
これらはXで行われる個人融資やアプリ売買の取引と同じように犯罪行為で、同じように融資希望者を募り高額な金利を請求するためにカモを探しているということです。一見安全に見えるアプリやサーバーにも危険な犯罪者はいくらでも潜んでいることが窺えますね。
Threads(スレッズ)に出没する個人融資(個人間融資)
写真・動画投稿アプリとして有名なInstagramの文字版として登場した「Threads(スレッズ)」にも同じような投稿があります。
ポップな絵文字とともに記載されている「個人融資」ですが、これらは闇金と同じような高額な金利を請求してくる違法業者です。場合によっては1円も融資されずに個人情報だけを抜き取られることもあるので注意しましょう。
掲示板『レンタルキャッシュ』に出没する個人融資(個人間融資)
個人融資には『レンタルキャッシュ』という掲示板が存在します。その掲示板に必要項目を入力することで個人融資を受けられるという名目になっていますが、この必要項目に注目してみてください。
名前こそ偽名でも投稿が可能ですが、連絡先として使用可能なメールアドレスが入力されています。この投稿は誰でも閲覧できるため、このアドレスは「どうぞ、みなさんこのアドレスでなんでもしてください」と言っているようなものです。
さらに、月収や提示可能な身分証はこのあとの手続きで要求されるため、顔写真つきの身分証は違法業者の手元に届き、融資を受けられたとしてもその後の取り立てはやりたい放題できるというわけですね。
また、この掲示板でさらにツッコミどころ満載なのが利用者の口コミを公表しているところ。実際に利用した人からの口コミかは定かではありませんが、融資を受けるつもりが仮装通貨を購入させられただけだったという口コミが投稿されていました。
仮に偽物の口コミだった場合はこういった口コミを掲載することで利用者に現実味を感じさせることができますし、事実だった場合にはこういった詐欺行為も行われる掲示板ということがわかります。
どちらにしても『レンタルキャッシュ』の掲示板を利用したところで、希望するような融資どころか個人情報をただ抜き取られるということを理解しておきましょう。
融資のためという名目でネット上に自ら個人情報を晒した場合、仮にスクリーンショットが取られていたら永遠にメールアドレスやその他の個人情報は消えないまま…金銭に余裕がない時に思考が働かない気持ちはわかりますが、自ら晒す行為は自分で自分を苦しめることになります。
掲示板『くじら』に出没する個人融資(個人間融資)
『くじら』では以下の情報を書き込むことで融資を受けられるという名目のもと掲示板を運営しています。
- 名前(ハンドルネーム可)
- フルネーム
- 年齢
- 性別
- 都道府県
- 市区町村
- ラインID
- PayPayID
- カカオトークID
- メールアドレス
- 希望金額
- 報酬/利息など
- 給料日
- 口座情報
- 対面希望
- 職業
- 彼氏/彼女の有無
- 親の有無
- 身分証の画像
- 電話番号 など
かなり細かく個人情報を聞かれるうえ、投稿時点で身分証の表・裏の写真を要求されます。身分証の写真は投稿に反映されず、掲示板管理人のもとにのみ送信されるようですが、この身分証についてもなにに使われるかわからない危険性の高い要求であることがわかります。
こちらは実際に『くじら』に投稿されている借りたいという人の投稿です。名前の横にある【メールする】というボタンを実際に推すとメールが送れる仕組みになっていました。
金銭的な余裕がない際には判断能力が低下し、ここまで怪しげなサイトであっても砂漠に現れるオアシスのように見えるかもしれませんが、掲示板に投稿した時点でどんな犯罪に巻き込まれてもおかしくないという意識を持ちましょう。
個人融資の他にもSNSで活動する違法貸金業者として「LINE闇金」という業者もいます。同様に危険な取引となるため注意しましょう。
手軽に借りられる個人融資(個人間融資)の危険性とリスク
- 各行政が注意喚起を出している
- 口座売買を強要される
- 保証金(手数料)を取られる
- セクシャルな要求をされる
- 個人情報を晒される
まず大前提として個人融資(個人間融資)は違法とわかっていながら貸付けを行なっている場合がほとんどのため、リスクや危険性は大いにあります。
その場のお金欲しさに、手軽に借りられる個人融資からお金を借りると、現実的に支払いが不可能なほどの高額な金利や返済が終わっていないにも関わらず追加融資を勧誘されることにより、生活はどんどん困窮することに。
一時的な金銭の受け取りで生活が安定するはずもないため、リスクにともなわない取引をいうことを頭に入れておきましょう。
各行政が注意喚起を出している
・ 個人であっても、反復継続する意思をもって金銭の貸付けを行うことは、貸金業に該当します。
・ 不特定多数が閲覧可能なSNS等で「お金を貸します」、「融資します」などと書き込んで、契約の締結を勧めることは、貸金業法の規定に抵触する場合があります。
・ 個人を装ったヤミ金融業者により違法な高金利での貸付けが行われるほか、更なる犯罪被害やトラブルに巻き込まれる危険性があります。
引用:金融庁
個人融資については、金融庁からも違法業者(個人)のため借入をしないように注意喚起が出ています。このほかにも、都道府県や政府広報オンラインでも同様に注意を促しているので、それほど危険な取引ということがわかります。
口座売買を強要される
利息の支払い融資への対価として銀行口座やアプリの売買を強要されることがあります。特に注目したいのは銀行口座の譲渡で、銀行口座を他人に渡すことは以下の罪に問われる可能性があります。
犯罪収益移転防止法違反 一年以下の懲役 |
・自分や他人名義の通帳・キャッシュカードを譲り渡す行為。 |
・自分や他人名義の通帳・キャッシュカードを譲り受ける行為。 |
・ネットバンキングのログインID・パスワードの情報を譲り渡す行為。 |
・ネットバンキングのログインID・パスワードの情報を譲り受ける行為。 |
詐欺罪 10年以下の懲役 |
・他人に譲り渡す目的で口座を開設する行為。 |
・他人・架空名義の口座を開設する行為。 |
窃盗罪 10年以下の懲役 |
・他人名義の口座からATMで現金を引き出す行為。 |
引用:大阪府警察
口座の譲渡は要求した側だけでなく、渡した人にも罪が科されます。自分の銀行通帳・キャッシュカードであっても犯罪収益移転防止法違反として一年以下の懲役100万円以下の罰金となるため、借入のために口座を渡すとさらに罰金まで支払う羽目に。
個人融資で要求された場合に口座譲渡に対応するとこういった余計な支払いが発生するということですね。さらに、場合によっては前科がつくこともあるので今後の仕事や社会生活にも不利な状態に陥ることもあります。
保証金(手数料)を取られる
個人融資は闇金と同じスキームで成り立っているため、高額な保証金や手数料を要求されることがあります。まず、金利としても法外なこともあり法律で定められている金利は以下。
◯元本の金額が10万円未満のときの上限金利
年20%
◯元本の金額が10万円以上から100万円未満のとき上限金利
年18%
◯元本の金額が100万円以上のときの上限金利
年15%引用:日本貸金業協会
個人融資は少額な金額の取引が多いため10万円以下の契約が主ですが、年20%以上の金利を請求された場合は違法ということですね。年20%以上の金利が違法とは実際金額としていくら請求された場合のことか計算していきましょう。
例)50,000円借りたケース | |
合法 | |
元金 | 50,000円 |
金利 | 20% |
利息 | 10,000円 |
支払合計額 | 60,000円 |
違法 | |
元金 | 50,000円 |
金利 | 365%(トイチの場合) |
利息 | 182,500円 |
支払合計額 | 232,500円 |
差額 | 合法-違法=172,500円 |
合法で5万円借りた場合、年間の金利は20%(利息:1万円)となり、支払額の合計は6万円となりますが、違法な個人融資の金利がトイチといわれる金利だった場合、利息だけでも18万円以上の利息が発生することに。
よって、合法と違法の差額は17万円以上となり、違法な業者から借入をすると5万円を借りただけでも23万円以上の支払いが発生するということですね。さらにこの金利にプラスして手数料や保証金を請求された場合、30万・40万円と支払い額がどんどん膨れ上がっていくことになります。
実際に比較をするとどれほどの金額を請求されるかがよくわかります。一時的な金銭のために個人融資から借入をすると、より生活に余裕がなくなるということですね。
セクシャルな要求をされる
手数料・保証金・利息が支払えない状況や追加融資を受けたい時に裸の写真や動画、下着の写真などを要求されることがあります。その他にも実際に会ってカラダの奉仕を求められる「ひととき融資」などの要望にも応えないといけない状況になることも。
写真や動画であれば安全と考える人もいるかもしれませんが、一度でも人の手に渡ったデータはネットに拡散される可能性があります。ネットの投稿を削除してもその投稿を見た"誰か"がスクリーンショットを撮っていれば未来栄光セクシャルな写真は世の中に出回る危険性が伴います。
また、実際に会った場合には不同意性行為や無理やり体を求められ、命の危険にも晒されるため大変危険な行為であることを理解しましょう。
個人情報を晒される
融資のために提供した個人情報はネットに晒される危険があります。といっても掲示板を利用した場合は自ら個人情報をネットに晒しているわけですし、その判断すらもできないほど精神的に追い詰められていることもあるでしょう。
個人融資のために個人情報を渡してもびた一文融資を受けられないといったケースもあるため、個人情報を渡すのは大変危険でリスキーな行為。あなた個人だけでなく、周囲や家族も巻き込むことを今一度考えましょう。
ネットに横行する個人融資(個人間融資)の実態
- 個人融資を検討する人が増えている
- 個人融資の利用者若年化が進んでいる
- 個人融資について理解していない人がほとんど
- 口座の売買を促される
- 高額な金利を請求される
- ひととき融資を要求される
個人融資(個人間融資)を検討する人が増えている
金銭的な余裕がなく借入を検討する際に個人融資で融資を受けたいと考える人は、2022年と2023年を比べた際に1%検討する人が増えています。
それはどういうことか、個人融資の知名度があがったことやその手軽さから個人融資を希望する人が多いということ。個人融資はスマホひとつあればX(旧:Twitter)や配信サイトなどで手軽に借りられることが理由にあげられるのではないでしょうか。
個人融資(個人間融資)の利用者若年化が進んでいる
借入の申し込みをしたことがある人の中でも若年層にアンケートを取ったところ、20~22歳よりも18~19歳が個人融資(個人間融資)に申し込みをしていることがわかっています。
日頃からネットに触れる機会も多く、軽い気持ちで申し込みをしてしまう人が多く、2022年と比べた際に2023年の方が若年化が進んでいる可能性が考えられますね。
個人融資(個人間融資)について理解していない人がほとんど
引用:日本貸金業協会(2023年10月31日)
個人融資の認知度についての調査では、2022年・2023年を比べた際にどのようなものか知らない人の割合が増えています。
にも関わらず個人融資の利用を検討した18~22歳が増えているということは、個人融資について知らないまま申し込みを検討した人が多いということ。SNSでの投稿もフランクなものが多く、闇金と同じような危険性を感じないまま利用してしまう人も少なくないのでしょう。
口座の売買を促される
個人融資の利息や手数料を滞納したり、融資をする際の条件として銀行口座の譲渡を求められることがありますが、口座の譲渡は以下の罰則になります。
売買された預貯金通帳、キャッシュカード、為替取引カード、為替取引に係る送金・暗号資産取引で使用する ID やパスワード等がマネー・ローンダリングに使用されるなど様々な犯罪に不正利用されていることから、この防止を図る目的で、本法は、預貯金通帳等、為替取引カード等又は暗号資産取引等で使用する ID やパスワード(暗号資産交換用情報)の有償又は無償の譲受け、譲渡し等をした者を1年以下の懲役又は 100 万円以下の罰金(併科も可)に処することとし、また、業としてこれらの行為をした者を3年以下の懲役又は 500 万円以下の罰金(併科も可)に処することとしている。
引用:警察庁(令和4年)
また、譲渡するよう勧誘した者に対しては以下の罰則が発生します。
また、預貯金通帳等、為替取引カード等若しくは暗号資産交換用情報の有償又は無償
の譲受け、譲渡し等をするよう人を勧誘し、又は誘引した者を1年以下の懲役又は 100
万円以下の罰金(併科も可)に処することとしている。引用:警察庁(令和4年)
このように銀行口座の譲渡は、勧誘した者よりも実際に口座を渡した人の方が罪が重く、場合によっては500万円以下の罰金が発生するため口座の譲渡はリスキーです。さらに譲渡により前科がついた場合には仕事を失い、家族までもの全てを手放すことにもなりかねないということを念頭におきましょう。
高額な金利を請求される
一昨年の夏、賃貸で住んでいるマンションの契約更新時期を迎え、お金に困っていた。ツイッターで「どこよりも個人で安く貸します」と書かれた「個人融資(個人間融資)」の投稿を見つけた。過去のツイートをたどると、「自分がお金に困った時、手をさしのべてくれた人がいた。今度は自分が手助けしたい」。信用できそうだと感じたという。
ツイッターのダイレクトメッセージ(DM)でやりとりし、都内の喫茶店で待ち合わせると、20代くらいの若い男が現れた。
希望の10万円よりは少なかったが、8万円を貸してくれた。求められた金利は1カ月で元本の50%(4万円)。年間だと、元本の約600%の利息になる。
朝日新聞の取材に応じた男性によると、8万円の融資を受け請求された金利は年600%。これは、法律で決められた金利(20%)の30倍にもなる金利です。
仮にこの金額を完済しようとした場合、利息だけで48万円合計返済額は56万円にも及ぶことに。このように高額な金利を請求されると、個人融資でお金を借りる前よりも金銭的な余裕がなくなることは目に見えていますね。
ひととき融資を要求される
希望額は20万円。借金を任意整理した経験があり、登録貸金業者からは借りられない。過去に4回、個人融資でしのいだという。
違法な高金利だが、10万円を借りて5カ月で15万円を返済したこともある。30万円を借りるため、「ひととき融資」に応じてしまった経験もある。「指示に従う自分が気持ち悪かったし、悔しかった」
引用:朝日新聞DIGITAL
特に利用者が女性の場合、融資に応じる代わりにカラダを求められる「ひととき融資」が発生しまうことがあります。
1度でもひととき融資に応じると再度要求されるリスクがあるうえ、写真や動画で証拠を抑えられてしまい脅し材料を業者に渡す結果となってしまうことも。
写真や動画に収められた証拠はネットに拡散されることもあり、本当の意味で逃げ場がなくなってしまいます。一時的な融資のためにカラダを許すことは最も危険な行為といえるでしょう。
個人融資(個人間融資)に関するニュース
神奈川の「個人融資(個人間融資)」逮捕ニュース
ツイッターを悪用して客を募り、ヤミ金業を営んだとして、県警生活経済課と海老名署は17日、貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(超高金利契約、受領)の疑いで、東京都練馬区、会社員の男(28)を逮捕した。ツイッターを使ったヤミ金業者の摘発は県警初という。
逮捕容疑は、ツイッター上で「安藤@個人融資」とうたって無登録で貸金業を営み、昨年6~10月に6回にわたって海老名市の男性会社員(24)ら4人に対し、計20万5千円を貸し付け、うち2人から19回にわたって法定金利の122倍~246倍となる計64万9千円の利息を受け取るなどした、としている。
X(旧:Twitter)で個人融資を謳い、貸金業違反・出資法違反2つの罪に問われ28歳の会社員が逮捕されました。現在もXや他SNS上によくある投稿と同じようなアカウントで融資希望者を募り、違法で高額な金利により金銭を貸し付けていました。
このニュースからもわかるように、個人融資は闇金と同じ法を犯しているため、手軽に借りられるという一時的な気持ちで利用すると結果として闇金を利用したのと同じ目に遭うということですね。
福岡の「個人融資(個人間融資)」逮捕ニュース
SNS上の個人融資は「ほぼ100%闇金業者」 20代のトラブルが最多【福岡発】
福岡県警が摘発した“闇金”グループ。違法に得た収益は10億円にのぼるとみられているが、これほどの巨額の金をどうやって集めたのか? 取材で見えてきたのは「手軽さ」を売りにする新たな「闇金の手口」だった。
フードで顔を隠す男。福岡県警が出資法違反の疑いで逮捕した、福岡市東区箱崎の石橋聖二容疑者(58)だ。
石橋容疑者が生業にしていたとされるのが、いわゆる「闇金業」。警察によると、石橋容疑者は2021年、福岡県内に住む30代の男性ら3人に、あわせて約69万円を貸し付け、法定金利の40倍から140倍にあたる利息を繰り返し受け取った疑いが持たれている。
引用:FNNプライムオンライン
この事件では、「#個人融資」とハッシュタグを入れたSNSへの投稿で融資希望者を募り、10憶円もの利益を得て58歳の男が逮捕されました。
利用者は全国に4,000人。ひとつひとつの金額は少額だったようですが、4,000人もの人数が被害に遭えばこれだけの金額を個人融資で作り出すことができます。
手軽さ故に被害に遭う人も多い個人融資は、実質闇金と同じ違法な貸金業ということですね。
個人融資(個人間融資)が闇金と同じと言われる理由
個人融資(個人間融資)は、違法で高額な金利や無登録により貸金業営業により闇金と同じ罪を犯しています。
その他にも返済が遅れた際の取り立てや個人情報の取り扱い方についても闇金同様の被害が予想されるため、犯罪と手口どちらの観点から見ても個人融資は闇金と同じと言えるでしょう。
金融庁の見解
引用:金融庁
貸金業の無登録営業:10年以下の懲役若しくは3,000万円以下の罰金
無登録業者による勧誘:2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金引用:金融庁
個人融資で発生する可能性がある罰則は闇金と同様の罰則です。法律の面から見ても個人融資は闇金と同じといえるでしょう。
また、このほかにも高額な金利での貸付を行った際には、個人融資も闇金と同様の罪に問われる可能性があります。
新聞社の見解
貸し手は、個人を装って紛れ込んだヤミ金業者とみられる。逃れられないよう、借り手に自分の顔や身分証の写真を送らせ、支払えないならツイッター上にさらすと釘を刺す。最近では、借り手に裸の写真と20人ほどの友人のLINEアカウントを伝えさせ、支払いが滞れば写真をばらまくと脅す手口も横行しているという。
引用:朝日新聞DIGITAL
個人融資は闇金のやり口と同じため、新聞社としても個人を装った闇金業者とみられると言っています。返済が滞った時の保険として親や親戚の連絡先だけでなく、友人のLINEアカウントまで必要になるところが手口の進化といったところでしょうか。
また、返済が遅れると裸の写真を人質に取られ、借金についての悩みだけでなくネットに晒される不安も付きまとうことに。一度でもネットに晒された写真や動画は、生涯人生に影響を与える可能性すらもあることを今一度よく考えましょう。
銀行の見解
「個人間の取引だから、業者より早く借りられて融通がききそう」と思いがちですが、実際は闇金業者による貸し付けがほとんどです。そのため、違法な高金利での貸し付けやトラブルが相次ぎ、犯罪被害も発生しています。
引用:SMBCモビット
銀行から見た個人融資も闇金と言われています。このようにどの視点から見ても闇金と同じということは、本当に個人融資は個人のフリをした闇金業者であり、そのやり口や金利・取り立てについても闇金同様の被害が発生することが予想できますね。
個人融資(個人間融資)で起きたトラブルの実例
1.相談事例(カッコ内は受付年月、契約当事者の属性)
【事例1】掲示板サイトの書き込みを通じてお金を借りたところ高額な利息の支払いを求められ
た
生活費が不足し、他からの借入れができなかったため、個人融資の掲示板サイトにお金を貸
してほしいと書き込み、返事をしてきた人と直接会って計 15 万円を借りた。これまでに 50 万円
以上返済したが、さらに 400 万円を支払うよう連絡がきた。相手は自分の住所を知っている。ど
うしたらよいか。
(2018 年7月受付 50 歳代 男性)
【事例2】SNS の書き込みを見て融資を申し込んだところ一方的に返済を求められた
SNS で「個人で融資します」という書き込みを見て相手に連絡を取り、60 万円の融資を申し込
んだ。すると、相手から「まず2万円を銀行口座に振り込むので、そのままこちらへ振り込んで
返してほしい。そこで審査をする」と言われ、銀行口座などの個人情報を伝えてしまった。しか
し、心配になりやめたいと伝えたら、「すでに1万円を振り込んだので、1週間後に3万円を返す
ように」と言われた。まだ、振り込まれているかどうかの確認はできていないがどうしたらよい
か。
(2018 年7月受付 20 歳代 男性)
【事例3】SNS でやり取りをして保証金を支払った後に連絡が取れなくなった
携帯電話料金の滞納などでお金を借りられるところがなく、SNS で融資をしてくれる人を募っ
た。融資するという人が現れたので、SNS でやり取りをして 100 万円を借りることにした。保証
金として 20 万円の融資に対して1万円が必要と言われ、5万円を支払ったが、その後、相手と連
絡がつかなくなった。だまされたのか。
(2019 年2月受付 20 歳代 女性)
【事例4】利息を免除する条件として裸の写真を送った
インターネットの個人融資のサイトを利用していた知人を通じて、個人とメールなどでやり
取りするようになり、15 万円の融資を依頼した。毎月の返済額は1万 5,000 円がぎりぎりだと相
手に伝えたところ、「それだと利息がついて総額 100 万円を超す返済額になる」とのことだった。
相手に写真を送れば、利息を免除してくれるというので、要望されるままに下着姿や裸の写真な
どを送った。しかし、融資は受けられず、こちらからの連絡にも返事がこなくなった。どうすれ
ばよいか。
(2019 年2月受付 30 歳代 女性)
このように実際に個人融資を利用した被害者がトラブルとなり相談したケースがいくつも実在します。
さらに注目したいのは実例【事例4】について。担当者からの言いなりになり下着や裸の写真を送ったにも関わらず、最終的には利息の支払いに困るどころか融資すら受けられなかったのだとか。
悪意を持った人にセクシャルな写真を動画を送ると、ネットに晒される可能性もあり、業者としてはいい脅し材料を手に入れた状態となります。
仮にネットにアップされた投稿を削除したとしても、閲覧した誰かがスクリーンショットを撮っていれば永遠に写真や動画はネットに残ることもあり、かなりリスクが高い行為になります。