闇金業者の手口と被害の実態
闇金業者の手口は、年々巧妙化しており、その被害は深刻さを増しています。彼らの主な標的は、経済的に困窮している人々や、合法的な金融機関から借り入れができない人々です。闇金業者は、こうした人々の弱みにつけ込み、法外な金利と悪質な取り立て方法で、借り手を苦しめています。
法外な金利と返済の罠
引用元:日本貸金業協会
闇金業者が設定する金利は、法律で定められた上限をはるかに超えています。貸金業法では、利息制限法に基づき、貸付金額に応じて上限金利が定められていますが、闇金業者はこれを無視して、驚くべき高金利で貸し付けを行います。
しかし、闇金業者の金利は年数百パーセントに達することもあり、借り手は瞬く間に返済不可能な状況に陥ってしまいます。さらに、返済が滞ると、元金に高額な延滞金が加算され、借金は雪だるま式に膨らんでいきます。
個人情報の悪用と脅迫行為
闇金業者は、借り手の個人情報を悪用して脅迫行為を行うことがあります。借り入れの際に提供された住所、電話番号、勤務先などの情報を使って、借り手やその家族を脅かすのです。
闇金に申し込みをした際求められる可能性がある個人情報は以下です。
- 住所 / 電話番号 / 本名 / 居住年数
- 職業 / 年収
- 職場:住所 / 職場の電話番号 / 勤務年数
- 実家:住所 / 電話番号
通常正規の消費者金融でも住所や年収などは答える必要がありますが、闇金は別の目的も持って個人情報を聞いています。そのため、より多くの情報を与えることに…。
これらの個人情報は取り立ての際に使用されることがあり、場合によっては闇金から職場に取り立て電話が来ることも考えられます。仕事に支障が出るほどの取り立てがあった場合、会社の判断によっては職を失うことにもなりかねないため、闇金に個人情報を渡すとなにが起こるかわからないと理解しておくことがおすすめです。
家族や職場への執拗な取り立て
闇金業者の取り立ては、借り手本人だけでなく、その家族や職場にまで及ぶことがあります。彼らは、借り手の家族に対して嫌がらせの電話をかけたり、職場に押しかけたりして、返済を迫ります。
職場への取り立てについては先述しました通りです。家族に影響が出る取り立ての例は以下です。
- 実家に取り立てが来る
- 闇金業者が子どもに接触する
- 自宅前で闇金業者が待ち伏せている
上記のような取り立ては極めて危険です。さらにヒートアップする可能性もあるため、逃げることや放置はやめておきましょう。
返済もできないし、危険から逃れるために遠くに行こう…と考える方もいらっしゃることかと思います。しかし、闇金の情報網は計り知れないもの。「なぜそんなことまで?」という情報を掴んでいることもあるため、個人の判断で逃亡を図ることは避けましょう。
家族や職場、周囲にも影響が出るような取り立てを受けている場合は早急に相談し、これ以上被害が大きくなる前に問題を解決することがおすすめです。怪我や物的証拠のある被害は警察、その他の被害は弁護士や司法書士への相談が最善策となります。
かなこです
これらの取り立ては借入が少額だった場合にも起こる可能性があります。今はここまでの被害を受けていない場合も、今後同様の被害が発生する可能性もあるため、闇金への返済が残っている方は早急に解決しましょう。
闇金取り立ての恐ろしい実態
闇金業者による取り立ては、その違法性と非人道性において、一般の金融機関とは比べものにならないほど過酷です。彼らの手法は、借り手の尊厳を踏みにじり、時には生命の危険すら感じさせるものです。
ここでは、闇金取り立ての恐ろしい実態について、具体的に見ていきましょう。
暴力的な取り立て手段
闇金業者の取り立ては、しばしば暴力的な手段を伴います。彼らは法律を無視し、借り手やその家族に対して身体的な危害を加えることさえあります。
立腹…20代男性けが、取り立てに応じず 襲った男2人、現金を貸し付けていた…無職24歳と土木作業員27歳、超高金利で逮捕 20代男性は“ヤミ金”の2人と同居していた
法定上限を超える金利で金を貸し付け、ヤミ金融を営んだなどとして、埼玉県警組織犯罪総合対策本部(組織犯罪対策2課)と川越署の合同捜査班5日、貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(超高金利)の疑いで、いずれもベトナム国籍で、土木作業員の男(27)=川越市旭町2丁=と、無職の男(24)=同市菅原町=を再逮捕した。
引用元:埼玉新聞(2024/08/06)
上記は実際に埼玉県・川越で起きた闇金に関する事件です。被害に遭った男性は取り立てにより怪我を負いました。このように取り立ての一環として怪我になるまで暴行を受ける可能性もあるため、闇金に一般的な"常識"は通用しないと考えておきましょう。
心理的圧迫と社会的孤立
闇金業者の取り立ては、物理的な暴力だけでなく、心理的暴力も含みます。彼らは巧みな手口で借り手を精神的に追い込み、社会から孤立させようとします。
以下は警察庁が公表している経済的理由の自殺件数です。
引用元:警察庁
経済的内容 |
人数(人) |
倒産 |
29 |
事業不振 |
366 |
失業 |
315 |
就職失敗 |
203 |
生活苦 |
1,022 |
負債(多重債務) |
604 |
負債(連帯保証債務) |
17 |
負債(その他) |
588 |
借金の取り立て苦 |
37 |
自殺による保険金支給 |
39 |
その他 |
302 |
引用元:警察庁
自死の要因として負債が入っていることは想像できた方も多いことでしょう。しかし、ここで注目していただきたいのは「借金の取り立て苦」という項目です。
取り立てが辛く、自ら命を絶ってしまった方がこれほどいるのです。たかが取り立てと安易に考えていると、後に痛い目を見ることがこの数字からも読み取れますね。
また、借金のために自死を選択したとしても保険金が下りることはほぼありません。家族のために…と考えることもあるかもしれませんが、結果としてさらに周囲の人を苦しめることになってしまうため、自死を選択する前にぜひ専門家にご相談ください。
借金の雪だるま式増加
闇金業者の取り立ての最も恐ろしい側面の一つが、借金の雪だるま式増加です。彼らは法外な金利と延滞金を設定し、借り手を返済不可能な状況に追い込みます。
以下は闇金で適用されることのある違法な金利です。
名称 |
金利(%) |
10万円を借りた場合の利息(年間) |
トイチ |
365% |
365,000円 |
トサン |
1095% |
1,095,000円 |
週2 |
1043% |
1,043,000円 |
週5 |
2607% |
2,6007,000円 |
アスイチ・カラス金 |
3650% |
3,650,000円 |
ヒサン |
10950% |
10,950,000円 |
たとえば10万円の借金をし、トイチ(365%)の利息がかかったとします。すると年間の利息は365,000円となり、元金と合わせて465,000円の返済が必要となるということです。
さらに、返済が滞ると、闇金業者は別の闇金を紹介し、借金を重ねさせることで、借り手を身動きが取れない状況に追い込みます。
このような借金の雪だルマ式増加は、借り手の生活基盤を根こそぎ奪い、最悪の場合、自殺や犯罪に追い込むこともあります。闇金業者の取り立ては、単なる金銭の問題を超えて、人生そのものを破壊する恐ろしい実態を持っているのです。
金城です
次のセクションでは、このような闇金被害からどのように脱出し、法的に対応していくべきかについて詳しく見ていきます。
闇金被害からの脱出と法的対応
闇金被害に遭った場合、一人で抱え込まず、速やかに適切な対応を取ることが重要です。この章では、闇金被害からの脱出方法と、その際に取るべき法的対応について詳しく解説します。被害者の方々が希望を持って行動できるよう、具体的な手順と利用可能な支援制度も合わせて確認していきましょう。
相談窓口の活用と専門家への相談
闇金被害からの脱出の第一歩は、信頼できる相談窓口を利用することです。一人で問題を抱え込まず、専門家のアドバイスを受けることが、問題解決への近道となります。
闇金の相談を受け付けている相談窓口は以下です。
- 弁護士
- 司法書士
- 消費者生活センター
- 法テラス
- 警察
法テラスや消費者生活センターも問題解決に促してくれますが、窓口から弁護士や司法書士を紹介してもらうという相談形式となります。そのため、お急ぎの方は弁護士・司法書士への相談がおすすめです。
また、専門家に相談する際は、借入の経緯や金額、返済状況、闇金業者からの脅迫や嫌がらせの詳細など、できるだけ具体的な情報を準備しておくことが大切です。これらの情報は、適切な対応策を立てる上で重要な役割を果たしてくれることでしょう。
警察への通報と法的手続き
闇金業者の行為は明らかに違法です。被害を受けた場合、躊躇せずに警察に通報しましょう。
警察に相談する際の注意点は以下です。
- 証拠を保存する
- ケガや物的破損などがある場合に相談する
- 交番ではなく警察署に行く
警察への通報は、自身の被害を止めるだけでなく、他の潜在的な被害者を救うことにもつながります。通報の際は、闇金業者から受け取った書類や、脅迫メールなどの証拠を可能な限り保存しておくことが重要です。
法的手続きとしては、弁護士や司法書士を通じて、闇金業者に対する債務不存在確認訴訟を起こすことも有効です。この訴訟は、違法な高金利での貸付契約が無効であることを裁判所に確認してもらうと良いでしょう。
債務整理と生活再建の道筋
闇金被害から脱出した後は、残された債務の整理と生活の再建が課題となります。ここでも、専門家のサポートを受けながら進めていくことが重要です。
債務整理の種類は以下です。
抱えている債務問題によって最適な手続きが異なるため、債務整理を希望する方は現在の借入状況などを一度まとめておきましょう。
生活再建においては、家計の見直しや就労支援の活用が重要です。各自治体の生活困窮者自立支援制度を利用することで、就労支援や家計相談などのサービスを受けることができます。
かなこです
次の章では、闇金被害を未然に防ぐための注意点について詳しく解説していきます。
闇金被害を防ぐための注意点
闇金被害は、一度巻き込まれると抜け出すのが非常に困難です。そのため、被害を未然に防ぐことが何よりも重要です。
ここでは、闇金被害を防ぐための具体的な注意点について詳しく解説していきます。
合法的な金融機関の利用
この記事を読んでいる人の中には、大手消費者金融の審査に落ち、もう闇金に借りるしかないと感じている方も多いことでしょう。実はそんなあなたもまだ合法の業者から借入ができる可能性があります。
ブラックOKの中小消費者金融は以下です。
業者名 |
金利 |
借入限度額 |
申込できる地域 |
登録番号 |
セントラル |
年4.8〜18.0% |
300万円 |
全国 |
四国財務局長(9)第00083号 |
ダイレクトワン |
年4.9〜18.0% |
300万円 |
全国 |
東海財務局長(14)第00027号 |
フタバ |
年14.959~19.945% |
50万円 |
全国 |
東京都知事(4)第31502号 |
フクホー |
年7.3〜20.0% |
200万円 |
全国 |
大阪府知事(6)第12736号 |
いつも |
年4.8%~18.0% |
500万円 |
全国 |
大阪府知事(6)第12736号 |
ベルーナノーティス |
年4.8%~18.0% |
300万円 |
全国 |
埼玉県知事(4)第03865号 |
AZ |
年7.0〜18.0% |
200万円 |
全国 |
埼玉県知事(4)第03865号 |
エイワ |
年17.9507〜19.9436% |
50万円 |
全国 |
関東財務局長(14)第00154号 |
アロー |
年15.00%~19.94% |
200万円 |
全国 |
愛知県知事(5)第04195号 |
上記企業に申し込みはされましたか?闇金は一度でも借りると人生を狂わせる違法業者です。申し込みがまだの場合、まずは合法業者を検討しましょう。
また、この他の業者から借入を行なう場合は、必ず金融庁の登録簿でご確認ください。登録されていない業者からの借入れは、違法な高金利や悪質な取立ての危険性が高くなります。また、借入れの際は、金利や返済条件をしっかりと確認し、無理のない計画を立てることが重要です。
消費者金融ではない行政の力を借りる
消費者金融からの借入以外でお金を工面する方法は行政に頼るというものがあります。行政の力を借りて金銭を増やす方法は以下です。
生活保護は自立を目的とし、自立までの期間お金を借りることが出来る制度のことであり、厚生労働省では生活保護について以下のように説明しています。
資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。(支給される保護費は、地域や世帯の状況によって異なります。)
引用元:厚生労働省
生活保護を受けるには以下の方法で申請が可能となります。
金額 |
対象 |
申請場所 |
地域によって異なる |
貯金や能力の全てを使っても生活が苦しい人 |
住まいの最寄り福祉事務所(生活保護担当) |
引用元:ハローワーク
また、行政には仕事を探しているという方が受けられる求職者支援資金融資制度というものが存在します。求職者支援資金融資制度について厚生労働省では以下のように説明しています。
「求職者支援資金融資」は、求職者支援制度で職業訓練受講給付金を受給する予定の方を対象とした貸付制度です。
引用元:厚生労働省
求職中は収入がなくなり、職探しのためにネットや足を使うこともあるため、基本的には貯蓄を切り崩して生活をすることとなります。そんな時に利用できる求職者支援資金融資制度の申請方法は以下です。
貸付額 |
対象 |
申請場所 |
月額5万円または10万円×受講予定訓練月数 |
職業訓練受講給付金の支給が決定した人 / ハローワークで求職者支援資金融資要件の確認書をもらった人 |
ハローワーク |
職業訓練を受講しながら給付が受けられる制度となるため、金銭的に余裕がない場合はぜひご利用ください。職探しもサポートしてくれるため、その先の生活も確保されるシステムとなっています。
金銭トラブルの予防と家計管理
金銭トラブルを未然に防ぐためには、日頃からの家計管理が欠かせません。収入と支出をしっかりと把握し、無理のない生活設計を心がけましょう。
おすすめの管理方法は以下です。
たったこれだけのことで、お金に関するトラブルは大きく減ります。具体的には、月々の収入から固定費(家賃、光熱費など)を差し引いた後、生活費や貯蓄にどれだけ回せるかを把握します。スマートフォンのアプリなどを活用すれば、簡単に家計簿をつけることができます。
また、急な出費に備えて、可能な限り貯蓄を心がけましょう。目安として、最低でも3〜6ヶ月分の生活費を貯蓄することが推奨されています。これにより、予期せぬ事態が起きても、闇金に頼ることなく乗り越えられる可能性が高まります。
クレジットカードの利用にも注意が必要です。リボ払いなどの分割払いは、気づかないうちに債務が膨らむ危険性があります。利用の際は、返済計画をしっかりと立てましょう。
周囲のサポートと早期相談の重要性
金銭的な問題は一人で抱え込まず、周囲のサポートを積極的に求めることが大切です。家族や信頼できる友人に相談することで、新たな解決策が見つかることもあります。
金銭的な問題が深刻化する前に、専門家に相談することも有効です。各地の消費生活センターや法テラスなどの公的機関では、無料で相談を受け付けています。早い段階で相談することで、問題が大きくなる前に適切な対処法を見つけることができます。
また、職場の上司や人事部門に相談することも一つの選択肢です。多くの企業では、従業員の生活支援や金銭的なトラブルに対する相談窓口を設けています。
金銭的な問題は誰にでも起こり得るものです。恥ずかしがらずに周囲に相談することで、闇金被害のリスクを大きく減らすことができます。
闇金の実態と取り立てへの正しい対処法のまとめ
闇金業者の手口と取り立ての実態は、想像を超える恐ろしさを秘めています。法外な金利、脅迫行為、暴力的な取り立てなど、その被害は深刻です。しかし、諦めないでください。適切な対応を取れば、必ず解決の道は開けます。
被害に遭った場合は、一人で抱え込まず、速やかに専門家や警察に相談しましょう。また、予防が何より大切です。合法的な金融機関の利用、適切な家計管理、そして困ったときは早めに周囲に相談することが重要です。
闇金問題は社会全体で取り組むべき課題です。正しい知識を持ち、適切な行動を取ることで、被害を防ぎ、また被害から脱出することができます。金銭的困難は誰にでも起こりうることですが、闇金は決して解決策にはならないことを肝に銘じてください。